在宅医療の普及において、薬局薬剤師が多職種と連携し、介入している例も増えてきたが、褥瘡患者に介入している薬剤師はまだ少ない。しかし、在宅褥瘡治療の多くは外用薬を中心に行われており、薬剤師の専門性が期待される分野だと考えている。なぜなら、外用薬に含まれる医薬品としての有効成分である主薬は外用薬の一部で、その他大部分は基剤が占めているからである。
褥瘡治癒においては、外用薬が直接創面に接触することから、主薬だけでなく基剤の役割も重要になってくる。愛知県 小林記念病院褥瘡ケアセンターの古田勝経氏は基剤を中心に考えた褥瘡・創傷治療である「FURUTA Methods」を提唱しており、外用薬を中心とした在宅褥瘡治療において有効であることを毎日の業務で実感している。
外用薬における褥瘡治療においては、薬剤の選択のみならず、薬剤が創面に留まるような塗布方法も重要である。2020年9月より改正施行された医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法)では、薬剤師の役割として医薬品交付後のフォローが義務化されている。褥瘡治療においても、患者が使用している外用薬の効果を確認および評価し、医師をはじめとする多職種と共有することによって、褥瘡治療に関わることは薬剤師の責務と言える。
また、在宅褥瘡治療における薬局薬剤師の役割として、褥瘡治療に必要な栄養補助食品や、医療材料の供給がある。もともと薬局は医療提供施設という役割以外に小売業としての側面もあるのが特徴である。それを活用して褥瘡治療においても、必要な医療材料を正しい使用方法とともに供給することによって、患者や他職種から必要不可欠な存在となることができるであろう。
日本褥瘡学会では、褥瘡・創傷専門薬剤師を創設し、2023年より暫定認定が始まっている。薬剤師が在宅褥瘡治療において、どのように関わり、他職種と連携しているか、皆様にお伝えしたい。